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葉瀬川さんのとてもかすれたような小さな声は守ってあげたいような心情をそそられる声をしていた。
「可愛い名前だね」
「ありがとう。それでね、返事…は?」
葉瀬川さんは下を向いて恥ずかしそうに聞いてきた。うぅ、その声と顔で恥ずかしそうに聞いてくるのは、なんか卑怯だよ!! こっちまで照れちゃうじゃないか…。
「僕、考えたんだ。葉瀬川さんとは僕初めて話すよね」
「うんっ」
「出会ったことが無い人と、いきなり付き合うのはかなり軽い男だと思うんだよね」
「私も…」
葉瀬川さんの返事をゆっくり待ちながら何を彼女に伝えるか、整理していく。
「…私もそんな軽い男の人は…嫌」
葉瀬川さんはそう答えると、ショックを受けたようにただただ僕の言葉を聞き入れる。
「…だよね、だからさ葉瀬川さん」
「……」
「お互いのことをより知るために付き合いながらお互いを知っていくのもいいと思うんだよね」
「…えっ?」
葉瀬川さんはキョトンとした顔をこっちに向けていた。きっと葉瀬川さんは馴れない手紙を一生懸命書いたんだよね、こんなに落ち込んだり恥ずかしがったりおどおどしたりするのもきっと一生懸命だったからだよね。
「あの手紙、初め読んだ時はびっくりしたよ。…腕ちぎられるのかとか思っちゃったりもした。でもさ、時間を置いて葉瀬川さんの気持ちなってどんな風に思いながら書いたのか?考えたんだよ」
「……」
無言で聞き続ける葉瀬川さんに安堵した。だってそれは何よりも僕の考えていることを確実なものにする少し遠回しな葉瀬川さんの気持ちでもあるから…。
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