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「葉瀬川さんは、僕のこと好きで好きでたまらなかったけど、直接言うのは恥ずかしかったんだろうね。だから手紙で僕に想いを伝えようとして書いてくれた。よく見ると一字一字がとっても綺麗な字だったよ」
僕は自分の手を葉瀬川さんの首に回し抱きしめる。この方が、女の子には僕の気持ちがずっと伝わる。
「葉瀬川さんのこと、好きになれそうなんだ、ありがとう。だから僕から口で言うね」
「…葉瀬」
「待って!!」
葉瀬川さんは僕を突き放し、顔を曇らせた。僕、何かいけないことしたんだろうか?
「どうしたの? 葉瀬川さん」
「わ…私から言わせて欲しいの。ずっと…ずっと好きだったから、断られることがとても怖かったけど…。でも今なら…言えそうな気がするの、お…お願い。私に…言わせて…」
やっぱり、葉瀬川さんは可愛い人だな。初めてあったのに、なんだかすごく気持ちが分かる。
「…分かった」
「私は…た…巧君のことが…ずっと…ずっと、好き…でした」
なんだか、凄く胸がどきどきする。なんなんだろ、この胸のそこから押し寄せてくるこの気持ち。温かくて、まるで母親にでも包まれているかのような…
「だ…だから、そ…その、私と…付き合って」
「僕も…葉瀬川さん…いや奈菜さんのことが好きです、だから僕と付き合ってください」
身体は自然に動いて奈菜さんを抱きしめていた。奈菜さんからは木蓮の良い香りがした。
あれから奈菜さんとお互いのことを話し、偶然同じ帰路だということが分かったため朝と放課後は一緒にいるようにしていた。
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