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「じゃあ、どうしたら帰ってくれるんだ?」
「幽霊を見るまでです」
「分かったよ。僕も手伝うから一通り探して見つからなかったら家に帰る?」
「見つかるまで帰りません!!」
「じゃあ、しょうがないな。役員の人に言って家まで君を送ってもらうよう頼むだけだ」
「うぅ~、分かりましたよ。約束すればいいんですよね、一通り私と校内を回って貰いますよ」
彼女は駄々こねるように言い立ち上がり、続いて僕も立ちあがった。
「ところで、君名前は?」
「……由里」
「よし由里ちゃん、何処から探す?」
「キモッ!!」
「んっ、なんて? ちょっと耳が遠くて聞こえなかったなぁ~」
「聞こえてるくせに…」
「悪口を言うのはこの口かぁ~?」
ホッペをムニュムニュと摘まんだりしてみる。
「ひゃっ!! ちょ、ちょっと~や~め~て~よ~!!」
由里ちゃんは顔を赤くして一生懸命抵抗する。可愛いところもあるんだな。…やりすぎて、どつかれたのは言うまでもない。
「で、何処から探す?」
「…ったく、どこからでもいいわ」
「じゃ、理科室から」
「あら、分かるじゃない、幽霊って大抵そんなところにいたりするよね」
これは、これで先日の昼休みに永遠とクラスメイトによって聞かされた怖い話に出てきたんだけどな。まぁ、無駄にならなくて良かったな、友よ。理科室といえば人体模型だとかいってたな、あいつ。一つ、脅かしてみるか。
「理科室に着いたぞって何してんだ?」
「べ、別に何もしてないわよ」
いや、背中にぴったりくっつかれてそういわれても説得力無いんだけど…。まぁ、役得と取っておこう、彼女持ちだからな。夜だったから良かったものだ。さて、理科室に入ってと懐中電灯を切る、と。
「ひゃっ!! ど、どうしたのよ?」
「ああ、懐中電灯が切れたみたいなんだ」
良し、びびってるな。次に人体模型を由里ちゃんの前に倒してと。…ッガッシャーン!!
「イヤーーーーーー!!」
由里ちゃんは僕にしがみついて来た。って、ちょっとやりすぎたか。あわてて懐中電灯を付ける。
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