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「ごめん。ちょっとやりすぎた…」
「イヤー!! イヤー!!」
どうしよう、しょうがない。決心して、僕は由里ちゃんの身体ごと僕の身体の中にうずめる様にして抱く。
「ごめん!! まさか、こんなに驚くとは思わなくて」
「ヒック、ヒック…怖かったよ~」
「ごめん」
そのまま、僕は由里が泣き止むまで抱いていた。まさか、こんなに驚くなんて、強がりな子ほど怖がりなのかなぁ。
「ごめん」
「……」
由里ちゃんは泣き止んだが、不機嫌になっていた。当然だよな、もう二度としないでおこう。その後も二人の沈黙は続いた、永遠に時間が流れる用に感じられた。僕はなんとか由里ちゃんの機嫌を取ろうとして話しかけるが無視され続けた…。そしてやっと口を開いてくれたのは最後の場所を見終わってからだった。
「…いなかった、それに大切なものも無くしちゃった。私、どうしたらいいのかもう分からない」
彼女は唐突にへたり込んだ。
「どうしたの? 何か無くしたって言ったけど」
「…ペンダント、大切な大切な姉の遺品なの…」
えっ?…ペンダントって、遺品? そんな馬鹿な、だって奈菜さんは…。いや、そう考えるのはまだ早い。
「ペンダントってこれのこと…かな?」
僕はおずおずと奈菜さんに似た人が写っている写真が入っているペンダントを差し出した。
「あっ!! このペンダント、…いったい何処で?」
「僕の教室の机に…」
「持っててくれたんだ、良かった~。…ありがとね」
「えっ、あっ、うん。そのごめんね、言わなくて。由美ちゃんがこれを探してるとは思わなかったんだ」
「……なくならなかっただけ、良かったわよ。……この中に写ってる人を私は探してるの……」
由里ちゃんの目は黒く闇に染まり、ただ見つけられないものを見付けようと足掻いている眼つきに見えた。そして、僕は決心した、きっとこのことから逃げちゃいけないんだと思ったから。
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