始まりの時

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私は両親の顔を知らない。 7年前のここに来る以前の記憶がまったくなかった。 この学園の理事長である 榊木 理恵(サカキ・リエ)さんの養子として迎えられた。 精神的ショックが原因らしいが自覚もない。 私の過去を知る者は誰もいない。 今の私を支えているのは 彼の言葉だった。 とっさに出た言葉だったに違いないけれど・・。 かなでは十分救われた気持ちになった。 彼と共に過ごして7年が 経った。 「じゃあ外で待ってるね」 「ああ」 そう言って静と一緒に那通の部屋を後にした。
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