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◇ ◇ ◇
家のリビングに置いてある横長のソファーに、恭也は仰向けで横たわっていた。
彼は黙々と参考書を読み進めている。
すると
「おにぃ、一緒にゲームしようよ!」
「んー……?」
恭也は参考書から目を離さず、薄い反応をしていた。
「あのな、舞花。俺はご覧の通り勉強中だ」
「えー、ゲームしようよー、この前買ったゲーム!」
「勉強中ー」
妹の舞花は頬を膨らました後、何かを思い付いたらしく、ニヤリと笑う。
「アターック!」
「ぐぇっ!?」
寝転ぶ恭也の腹部に舞花はのしかかり、恭也は鈍い悲鳴を上げた。
小学生とはいえ、全身の体重を腹部にぶつけられては悲鳴は上がる。
「ふふふ、おにぃ参ったかー!」
「お、お前なぁ……」
「えへへ、おにぃー」
楽しそうに笑う舞花に、恭也はつられて笑った。
「おにぃ、あっそぼ」
「ったく、しょうがねぇな」
「ねぇねぇ、おにーさん」
(……え、おにーさん?)
その声は舞花の声ではなく、別の女の子の声だった。
初めてではない、どこかで聴いたこの声。
「おにーさん、お寝坊だよー」
その言葉を最後に視界は真っ白になっていった……。
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