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「……は? なんでだよ?」
「だって学校に行かないもん」
恭也の隣でトーストを両手で持っているこの少女は、行かない事を当たり前のように言った。
「なんだ、サボりか?」
「んーん、違うよー」
トーストをひとかじりしてから、由芽は言葉を続ける。
「今日も検査だから」
極普通に“検査"と言った由芽に恭也は一瞬表情が固まる。
「……また検査か」
「うん、今日は緊急の検査っておかーさんが言ってた」
「……そうか」
緊急。
あまり良い単語ではなかった。
緊急の検査という事は何か異常が起きたからこそ、緊急となってしまう。
(……けど)
隣で美味しそうに朝食を食べる由芽を見る限り、身体に異常は無いように見える。
食事、運動、そう言ったものに制限されているとは見えない。
「………………」
深く関わるべきではない。
だが、どうしてもその事が気になって仕方無かった。
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