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◇ ◇ ◇
「……で?」
大学の教室に着いて早々に七海が腕を組んで、恭也をお出迎え
「ん、どうかしたのか、七海」
恭也は首を傾げると七海の表情に不機嫌さが増していく。
「どうかしたのか、じゃないわよ。何で昨日突然どっか行ったのよ」
「なんだ、そんな事か」
「そんな事、じゃないでしょ!」
キッと恭也を睨んだ後、そのまま怒りをぶつける訳でもなく、七海の表情は曇り出した。
「……こっちは心配したんだからね。電話掛けても繋がらないし……」
「え?」
恭也は昨日から放置していた携帯を開くと『不在着信』が16件もあった。
全て七海からの着信だ。
「あー……悪い」
「べ、別に恭也が無事ならいいけど……でも、本当に昨日はどこ行ってたの?」
「………………」
正直に答えると事情が長いうえに面倒な事になる、そう恭也は予想している。
ならば……
「七海、驚かないで聞いてくれ……」
「な、なによ」
真剣な目差しで見つめる恭也に、七海は思わず身構えた。
「じつは、異次元の世界に迷い込んで――」
もちろん、殴られた。
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