霧島 恭也、捕獲作戦

4/35
7332人が本棚に入れています
本棚に追加
/1171ページ
今から5分前。 恭也は自宅のアパートを出て、図書館目指して歩いていた。 すると、この街には少し似合わない高級車が恭也の目の前に止まり、黒いスーツの男達に車の中に引きずり込まれた。 そして、今現在どこかへ搬送中 「……とりあえず、この状況と展開を説明してくれよ」 恭也はこの状況に怯える訳でもなく、むしろ冷めている。 「本当にごめんなさい。貴方に会わせたい人がいるんです」 両サイドの黒いスーツの男達は喋らず、運転中の千鶴がそう説明した。 「じゃあ質問を変える。何で目隠しして手を拘束してんだよ?」 「今から行く場所の位置を知られては困るからです。手は抵抗されない為です」 「……あっそ」 素っ気ない恭也の態度を、千鶴はバックミラー越しに不思議そうに視線を向ける。 「随分冷静なのですね」 「パニックになっても仕方無いからな」 やはり敵意を向けるような冷めた態度を維持している。 千鶴に対しても、敵意から敬語など使っていない。 「アンタらの家が変だとは思ったが、裏は悪の組織ってオチかよ」 軽蔑して嘲笑うと、千鶴はバックミラーから目を離して、真剣な表情を浮かべた。    「悪……けして、否定しきれないかもしれません」    
/1171ページ

最初のコメントを投稿しよう!