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「……それで、ここはどこなんだよ? 俺を誰に会わせたいんだよ?」
説明不足で苛立っているのもあるが、予定を強引に崩された事に一番腹を立てていた。
「全ての事はこの扉の先でご説明致します」
「……あっそ」
恭也は千鶴から扉へと視線を移す。
『関係者以外立ち入り禁止』とプレートが貼り付けられている重厚な扉。
扉の横についている液晶画面に千鶴は暗証番号を入力すると、天井にある監視カメラが二人をじっと捉える。
しばらくすると、自動に重厚の扉は左右に開く。
「こちらです」
千鶴は部屋へと手を差すと、恭也は一瞬入るのを躊躇(ためら)いながらも、部屋と足を進めた。
モニターや本棚が複数置かれている十畳以上ある部屋。
その中央にはパソコンと散らかった書類が置かれた机に白衣姿の男がいた。
千鶴も部屋に入り、中にいる白衣姿の男に一礼する。
「冬次郎(とうじろう)さん。彼をお連れしました」
冬次郎という男はパソコンから視線を千鶴に移し、更に隣の恭也に移す。
「やぁ、待っていたよ」
ゆっくりと立ち上がり、恭也に穏やかな笑みを見せる。
「初めまして、恭也君。私は
時ノ宮 冬次郎、よろしく」
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