霧島 恭也、捕獲作戦

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恭也の目の前にいる冬次郎という男。 銀髪のオールバックに銀色の縁の眼鏡。 品の良い顔立ちをしており、年齢は30代くらいに見える。 恭也よりも少し背が高く、白衣姿が何故だか異様に似合っている。 「………………」 よろしくと言われたものの、恭也は無言。 そんな恭也に冬次郎はさわやかな笑みを浮かべる。 「おや、とても警戒されてしまったようだね」 「……拉致した相手と打ち解けるわけないだろ」 「んふふ、それもそうだ」 拉致した割には敵意や悪意はなく、どこか調子が狂う。 「……アンタも時ノ宮か」 「ん、そうだが?」 「てことは、アンタが父親ってわけか」 昨日、恭也は時ノ宮家の母親と兄妹達には出会ったが、父親には会っていない。 なら、必然的にこの男が父親ということになるはずだが―― 「父親……一応そういう事になるかな」 答え方は曖昧。 「違うのか?」 「まあ、とりあえず座ろうじゃないか」 冬次郎は椅子に座り、向かい合うように置いてある椅子を差した。 恭也はため息をついてから、椅子に座り、机を挟んで冬次郎と向かい合う。 「千鶴君、悪いけどコーヒーを二ついいかい?」 「はい、かしこまりました」 千鶴は一礼してから一度部屋を出る。それを確認してから恭也は口を開く。 「……で、アンタの目的は」 「おっと、ストップ」 本題に入ろうとした恭也の言葉を遮り、冬次郎は目で微笑む。 「んふふ、すまないがコーヒーを飲みながら話したいんだ」 「………………」 ツッコムのがもう面倒だった。    
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