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「さて、君の質問に答える前に少し聞きたい事があるんだが、君は私の家族に会っただろ?」
冬次郎は目的の話を逸らすように、別の話題を持ち込む。
意図が分からず、恭也は首を傾げるも、とりあえず質問に答える。
「ああ、成り行きでな」
「あの家族を見て、君はどう思った?」
「どうって……」
恭也は昨日出会ったあの家族を思い返し、顎に手を置いた。
「結論から言えば、不自然過ぎる家族だと思った」
「んふふ、何故だい?」
「何故と聞かれても、色々あり過ぎる」
年齢の離れている兄妹。
顔が誰一人として似ていない。
朔磨に対する優太の“朔磨さん”という呼び方。
疑問はいくつもあったが……
「一番不自然に感じたのは母親が若すぎる事だ」
そこだった。
「大学生の子を持っているのにあの若さは違和感がある」
「なるほど」
「再婚でもして、由芽以外は他所の子供という事だったら納得はできた、が」
「が?」
「アンタの“千鶴君”という呼び方はどうも妻への呼び方じゃないな」
はっきり言ってしまえば、その呼び方は――
「まるで、上司と部下という感じに見える」
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