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素っ気なく。
「さっさと戻れよ。」
一瞬。
アイツの顔が曇って…
──…ずきん。
胸の奥が軋んだ。
いや、軋んだような音がした。
『ズキン』なんて……
そんな音、してない。
絶対に。
そんな音──…
しちゃ、いけない。
“アイツ”の。
“山本 武”の…
悲しそうな、寂しそうな。
今にも泣き出しそうな顔を。
「ざまぁね―な」って、
嘲笑ってやれば。
スッキリする。
……はずなのに
だって、そう言えば。
山本はもっと
情けない顔をするとわかっているから。
俺は今、どんな顔でお前を見てるのかな。
ちゃんと。
意地悪く笑えてっかな。
また
山本の顔が、笑顔に戻った───…
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