彼女の真実

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彼女の真実

僕は約束の時間に待ち合わせた居酒屋についた。何度も来てる馴染みの店だ。いつも賑やかなのに今日に限っては、ものすごく静かに感じる。すごい嫌な予感。親父さんが 「いらっしゃい。たくちゃん久しぶりやねー元気やった?」相変わらず威勢がいい!何か胸のつっかえがとれた気がした!この親父さんは憎めない。けどいつも僕は一歩引いて喋ってる!そして、本音を絶対喋らない!いくらいい人でも、親父さんは色んなお客さんと毎日コミュニケーションをとる。僕はそういう人に自分の事を詮索される事が嫌いだから、必ず自分の事を偽る。人に色んな人間と比べられるのが嫌いだから。だけど愛想よく接してれば好感度はいいだろうと思い適度に接してる! そして親父さんに聞いた?「法子はまだきてないっすねー?」すると親父さんが「のりちゃんおるよ」と相変わらずの大声で返してきた。あれ?あっちの席で背を向けてる女か?親父さんが「のりちゃん~たくちゃん来たよ」と法子が笑ってこっちを見た!僕は何か初対面の子と会うような感じで席についた!しかしまともに法子の顔見たの久々だ。容姿は悪くないけど、彼女はどんな人生を歩いてきたのか?冷めた感じがたまに漂う!灰皿を見たら、もう軽く十本を越えてた。灰皿代えろよと思う前にいつからいるのか疑問を感じた!でも、あえて聞かず生中とつまみを頼んだ。そして、法子がいった? 「私のお酒も頼んで」僕は「はっ?種類わ?」すると法子がいった。「一年一緒にいて私の好きなお酒わからん?」冷めた口調でいってきた。僕は焦った!そしてとっさに、「あれやろ!マックシェイクやろ?」無理矢理の受け狙い。もちろん流され普通に親父さんにレモンハイ一つと頼んだ。微妙な空気のまま5分位経ち法子が口を開いた。 「私ね、結婚するの!お腹にその人との赤ちゃんがいるの!」って。その法子の表情から僕はそれが冗談と思えなかった。とっさに「いつから?」と聞いた。法子は「三ヶ月前から。子供が出来たのが発覚したのは一ヶ月前だけど、結婚を決めたのは先週。たくみには浮気してて悪いと思ってるけどそういう事だから、だからもうアパートから出てって」怒りより淋しさよりこの先どうしようという不安しかなかった。そして法子にいった。 「分かった!最後に五十万だけ貸して」その瞬間法子の目から涙がでていた。普通の女の子が流す涙だった。
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