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ありがとう
そして二人で居酒屋を出た。親父さんは何か察したんだろう。僕らに控えめに
「またきてね!」そう言ってくれた。笑って返すのが僕と法子の精一杯だった。もうくることはないであろうこの店に。
もう財布に一万円とちょっとしかない僕は法子に早く金だけもらって出ていきたかった。アパートにつく目の前で法子から口を開いた!「ねぇーたくみさっきの話なんやけど、、、」
僕はいった。
「何の話し?」ある程度わかりつつもとぼけて聞き返した!
「三十万しかないからそんだけでいい?」さっきとは明らかに声のトーンが違う。
僕は「いいよ!」といった。ラッキー!何とかなるだろうそう思った!
続けて法子がいった!
「そのかわり今日私の事抱いて」
僕は、この女馬鹿じゃねぇーと思いつつも、その条件を呑むことにした。
そして、僕はその夜彼女を半年振りに抱いた。最後に。彼女が何故結婚をきめたのにも関わらず僕に抱いてほしいといったのか?僕はお金の為に抱いてやってるのに。
彼女に愛してるといったのは初めてあった夜だけだ。出会いはキャバクラ彼女が働いてる所にたまたま行った僕がお酒に飲まれ、必死で法子を口説いてたらしい。別に法子がタイプだった訳じゃない。一人暮しだったから住む所ない俺には好都合。だから必死だったんだろう。運よくその日から転がり込む事ができた。
神様はいるんだろう。
やはり最後は捨てられる。ただ一年彼女には助けられた。感謝の気持ちは少なからずあった!
ベットの上で僕は法子に一言「今までありがとね」法子は背を向けたまま無言で聞いていた!
朝を迎えた。隣にもう法子はいなかった。テーブルの上には、封筒と僕の服がもうバックに入ってあった。
顔を洗い、早々と僕は家をさよならした。
封筒には約束の三十万が入ってあった。
最後まで彼女の誕生日と名前しか知る事が出来なかった。法子は僕の事なんて何もしらないだろう。そう、僕は知りたいと思った事もない。お互い適当な感じで接していた方がめんどくさくないから。
そして、僕はこの地を離れ東京に行く事にした。東京ならなんとかなるって思い!
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