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○月××××日。
今日も、なかなかお客様は来ない。どうしてだろう。
コーヒーの味には自信がある。
店の雰囲気だって、ミドリが好きだった花を飾り、柔らかくて暖かいイメージに仕上げてある。
何がいけないのだろう?
悩みに悩んだ結果、
私は、あることに気がついた。
そうだ!コーヒーだけではお客様は満足しないんだ!
なぜ気がつかなかったんだろう。
メニューがコーヒーのブレンド数種類だけでは、物足りないじゃないか。
コーヒーと一緒に楽しんでいただくメニューが必要だ。
やはり、ケーキやパンだろうか?
私は、どちらも作ったことがない。弱ったな。
ふと思い出す。
ミドリ、君が作ってくれたケーキは最高だった。
あのケーキさえあれば、軽くご飯3杯はいけた。
あの味を、このコーヒーと合わせれば、最高のメニューになれただろう…
今からケーキを勉強するのは遅すぎるだろうか?
いっそのこと、ケーキ専門のシェフを雇ってみようか?
しかし、ウチは開店したばかりだし、予算も少ない。
プロを雇うのは無理だ。
…では、見習いくらいのレベルならどうか。
私は、ピン!と閃いた。
店から少し離れた通りに、洋菓子の専門学校があるではないか。
そこに、金の卵がいるかも知れない。
私は早速、アルバイト募集のポスターを書いた。
急いで専門学校へ向かい、学長さんに事情を説明し、掲示板の一部を借りたいとお願いした。
学長さんは、何故かガクガクと震えていた。
まるで脅されている様に顔色も悪い、お年のせいかな?
それはさて置き、快く掲示板を貸してもらい、ポスターを張った。
金の卵は来てくれるだろうか?
なんだかワクワクしてきたよ、ミドリ。
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