業務日誌、①。

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○月××日。 オープン初日は、残念ながらお客様は1人も来なかった。 近所の家々を周り、ポストにチラシを入れたから、外まで見に来る人はチラホラいた。 私が窓から覗き、目が合うと、皆、去ってしまう。 この街は恥ずかしがり屋さんが多いのだろうか。 試しに、客席の窓を全て開け、コーヒーの香りを思い切り外へ流してみた。 通りすがりのご婦人が、香りに誘われて扉を開いた。 やった!と思った矢先、 いらっしゃいませの言葉をかける間もなく、再び扉は閉ざされた。 ご婦人は、『ぐほっ』という濁った声を発し、元来た道へ走り去った。 それはまるで、お魚くわえたドラ猫を追いかけるあの人の52倍くらいの早さだった。 ご婦人は、きっとお手洗いにでも行きたかったのだろう。 とにかく残念だ。 けど、挫けないさ。 明日、また頑張ろう。
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