業務日誌、①。

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○月××××日。 今日も、なかなかお客様は来ない。どうしてだろう。 コーヒーの味には自信がある。 店の雰囲気だって、ミドリが好きだった花を飾り、柔らかくて暖かいイメージに仕上げてある。 何がいけないのだろう? 悩みに悩んだ結果、 私は、あることに気がついた。 そうだ!コーヒーだけではお客様は満足しないんだ! なぜ気がつかなかったんだろう。 メニューがコーヒーのブレンド数種類だけでは、物足りないじゃないか。 コーヒーと一緒に楽しんでいただくメニューが必要だ。 やはり、ケーキやパンだろうか? 私は、どちらも作ったことがない。弱ったな。 ふと思い出す。 ミドリ、君が作ってくれたケーキは最高だった。 あのケーキさえあれば、軽くご飯3杯はいけた。 あの味を、このコーヒーと合わせれば、最高のメニューになれただろう… 今からケーキを勉強するのは遅すぎるだろうか? いっそのこと、ケーキ専門のシェフを雇ってみようか? しかし、ウチは開店したばかりだし、予算も少ない。 プロを雇うのは無理だ。 …では、見習いくらいのレベルならどうか。 私は、ピン!と閃いた。 店から少し離れた通りに、洋菓子の専門学校があるではないか。 そこに、金の卵がいるかも知れない。 私は早速、アルバイト募集のポスターを書いた。 急いで専門学校へ向かい、学長さんに事情を説明し、掲示板の一部を借りたいとお願いした。 学長さんは、何故かガクガクと震えていた。 まるで脅されている様に顔色も悪い、お年のせいかな? それはさて置き、快く掲示板を貸してもらい、ポスターを張った。 金の卵は来てくれるだろうか? なんだかワクワクしてきたよ、ミドリ。
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