三面鏡の秘密

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昔、フランスの森の奥に少し大きな館が立っていた。 そこでは、身寄りの無い子供を預かって育ててくれる女性が住んでおり、とても面倒見が良いと噂されていたのだが、実際はある程度まで育てて売り飛ばすという酷い女性が住む館だった。 そこに一人の女の子がやってきた。 彼女の名はリリスと言う身寄りの無い女の子で、この館の噂を聞き付けてやってきたのだ。 リリスは「どんな優しい人が住んでいるのだろう」と期待に胸を膨らませ、館の戸を叩いた。 しかし、その期待は無惨に裏切られる…館の中から現われたのは、鬼のような形相の女性で、名をイデアと言う。 イデアはリリスを見ると「高く売れそうだね。こっちに来な!」とリリスの腕を強く引っ張り、館の中に入れた。 「お前は、ここに入ってな!飯だけは出してやる。感謝するんだね!」と言って、リリスを狭い部屋に閉じ込めた。 リリスはしばらく何が起きたか分からず頭が真っ白になっていたが、ようやく分かった様で、「開けて!開けて!」と叫んだが返事は無い…リリスは大切にしている三面鏡を見た。 リリスはこうして三面鏡に写る自分の表情を見ては、自分を勇気付けたりしていた。 「くよくよしていても仕方ないよね。」 リリスは落ち着きを取り戻した。 たまたまその行動を見ていたイデアが、「あの鏡、意外に高く売れそうだ。」と思い、突然リリスの所へ来て、「その鏡をよこしな!」と無理矢理取り上げようとした。 「やめて!やめて!」と余りに抵抗するので、イデアは頭にきて、「そんなに鏡が好きならこうしてやる!」と、リリスの頭に三面鏡を叩き付けた! すると三面鏡の一面だけ割れ、破片がリリスの心臓を突き刺した!リリスは…息絶えてしまった…。 イデアは焦った様子で「お前が悪いんだ!知らないよ!あたしゃ知らないからね!」と言い、その部屋に鍵をかけ、リリスの亡骸をそのままにして部屋から出た。 その後、イデアは謎の変死、館は原因不明の火事で全焼したといわれている。 ただ、一面割れた筈の三面鏡が、割れていない完全な状態で残っていたという…。 あくまで噂だが、おもしろ半分で、深夜2時に三面鏡を覗くのはやめたほうがいいだろう…もしかしたらその一面から、リリスが君を悲しそうな表情で覗いているかもしれない…。(終)
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