北極ぐまの詩

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  夜中にふと目が覚めた 何気なくテレビをつけたら 極地の映像が流れ そこに北極ぐまさんが 映っていてドキッとさせられた 僕の夢は 北極ぐまさんに食べられる事だ 極地と呼ばれる所で その種を存続させ続ける という事は人が思う以上に 大変な事だろう もっとも北極ぐまさんは 「大変だ」 などとは言わないが 母ぐまは 冬の間へたしたら 半年程なにも食べない 何一つ食べ物がない中で その子供に母乳を与え 寒く何もない氷の上を それでも食べ物を探し続ける 子ぐまの2匹に1匹は 生まれて 最初の1年で命を落とす 北極ぐまさんは 食物連鎖の頂点に君臨している それでも いやそれだからこそ 生き続ける事はとても厳しい 温暖化の影響で年々、 氷の張っている期間が短くなり 子ぐまの死亡率が 上がっているそうだ 北極ぐまさんに 食べて貰えれば僕も生物として 地球の一部になれそうな気がする 北極ぐまさんは こんな僕の生きている 【意味】【偽善】【エゴ】 全ての勘違いを 残さず全部食べてくれるだろう だが僕は寒いのが嫌いだから 北極まで行けない 暖かな暖房の効いた 部屋のベッドで 今日も北極ぐまさんに食べて貰う夢を見る…  
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