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身仕度をし、食事を済ませて家を出る
この時点で9:50
「…走れば間に合う…か?」
かなり微妙なラインだった
「大丈夫!100m9秒で走れば余裕だよ♪」
無茶な話だ…
「ナツメ、それは世界新記録だ」
「そのくらいで行けばいいってことよ!」
「はぃはぃ…」
龍矢は仕方なく走りだした
待ち合わせ場所である神姫センターの前で、一人の少女が待っていた
「…龍矢君、遅いなぁ」
彼女、如月 雛璃(きさらぎ ひなり)は彼此35分前からこの場にいた
彼女は人を待たせるのが嫌いで、待ち合わせをする場合、たいてい30分前に現れる
その性格故か、雛璃は待たされる場合がほとんどだった
「また遅刻でしょうか」
雛璃の肩の上に座っている騎士型神姫―メルヴェ―が言った
「…でしょうね。まぁ、私はいいだけど」
「雛は甘いです。一度龍矢さんにはキツく言うべきかと…」
メルヴェは何事にも厳しく、規律を重んじている
騎士型の性がそうさせるのか、主従の関係もしっかりとしている
「いいのよ、メルヴェ」
「ですが…」
「いいの」
雛璃はメルヴェに言い聞かせた
「まぁ、雛がそれでいいのなら…」
「ありがと」
雛璃の言う事は、メルヴェにとって『第一』の事である
これがメルヴェの言う騎士道というものである
「…ん、来ましたね」
メルヴェは龍矢が走ってくるのに感付き、雛璃に言った
「ハァ…ハァ…、悪ぃ雛璃。待たせたな」
息を荒げ、龍矢は雛璃に挨拶をした
「うん、おはよう。今日は5分遅刻だね」
雛璃は時計を見ながら笑顔で言った
「おはよ~雛璃~♪」
肩の上に座っていたナツメが挨拶をした
「おはよう、ナツメちゃん」
雛璃はまた笑顔でナツメに挨拶をした
「おはようございます、龍矢さん」
メルヴェは丁寧に挨拶をした
「おぅ、おはよう、メル…ヴェ…?」
龍矢は少し怯みながら挨拶をした
メルヴェの挨拶は丁寧だったが、目は殺気立っていた
「こらっ、目が恐いよメルヴェ」
「っ!?す、すみません。つい…」
雛璃の一言を聞いて、メルヴェは龍矢に謝った
「あ、あぁ…気にしなくて…いいよ…うん」
龍矢は苦笑いしながらメルヴェを宥めた
「うん、じゃあ、行こうか龍矢君」
「ん、そうだな。行くか」
そういって二人はセンターの中に入っていった
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