第十二章 赤銅の騎士

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『そう気張るな…。不意打ちなど最初からするつもりはない。』 急に聞こえた声に、由真と紗希は驚き振り向く。 『だがよく見れば…女ではないか…またハズレを引いてしまった…。』 赤銅の鎧を身に纏い、手には大きな槍を持ったその騎士はガッカリしたように言い出した。 「……時変者ね…。不意打ちをしないなんて、時変者の中にもいろんな奴がいるのね…。」 由真は現れた時変者と向き合って言った。 『なに…私の騎士道に反するだけだ…他意はない…。それより、貴様らに一つ問う。雷帝はどこにいる…?』 (こいつっ…!空を…!) 由真は何故かこの時変者に妙な怒りを覚えた。 「さぁ…わざわざ敵に教えるほど安い情報じゃないわ。」 由真は挑発混じりに答える。 『ならば力ずくで吐かせるしかないようだな…。』 騎士は槍を前方に構えて、戦闘態勢に入る。 紗希は由真に近づき、 「気をつけて…あいつ、何か隠してるわ…。」 由真にしか聞こえないような声で言った。 『私の名は“ベリト”。主の命により、ノアを皆殺しにするために参上した。貴様らも、我が槍の糧としてくれよう…。』 ベリトは深く腰を下ろし、槍の先を由真たちに向けた。 「女だからってなめてかかると、死ぬわよ…?」 由真は鉄甲を構え、腰にかかったウィンドダガーを手にとった。
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