第十二章 赤銅の騎士

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「由真っ!!」 紗希は由真の必死な後ろ姿を見て、覚悟を決めた。 【―The world in the glacier, line light is requested― (氷河の世界、ただ一筋の光を求める。)】 紗希は詠唱を始めた。紗希の周りに風が渦巻き、体が光り出す。 『ほう…詠唱か…。何をするつもりだ…!?』 「あんたには関係ないでしょっ!!」 放った炎弾がベリトに直撃する。 『ぬるいわっ!!』 ベリトはひるんだ様子も見せず、槍を突き出した。 【―It reaches, and it tries to grab at― (手を伸ばし、つかみ取ろうとする。)】 槍の先端が本体から離れていき、由真の心臓に向かって真っ直ぐ進んでいく。 「くそっ!!」 由真は槍の先端を両手でつかんだ。 槍の先端は回転し、由真の手を抜けようとする。 「まだ…まだぁっ!!」 由真は手に持った槍の先端を思い切り上に放り投げた。 高くあがった槍の先端は、空中で軌道を変えて再び由真の心臓めがけて飛んでくる。 (やっぱり追ってくるわね…!だったらっ!!) 由真はベリトに向かって勢いよく走り出した。
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