第十二章 赤銅の騎士

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「くっそぉ…しつこいのよぉっ!!」 由真は向かってきた槍の先端を地面に向かって思い切りたたきつけた。 『ふっ…もういい…戻れ…。』 ベリトがそう言うと、叩きつけられた槍の先端は、ふらふらとベリトの方に戻っていき元の槍に戻った。 【―The coffin of the end is given to a bad person― (悪しき者に、終焉の棺を…。)】 (あと二分…ってところかしら…。) 『少し貴様らを甘く見すぎていたようだな…。』 ベリトはそう言うと槍を地面に突き、詠唱を始めた。 「まずいっ!!」 由真は急いで詠唱を阻止しようとベリトに向かって走り出した。 【―Absolute zero close space― (絶対零度の閉鎖空間、)】 由真はベリトに殴りかかった。しかし、ベリトの詠唱は既に完了していた。 由真が繰り出した正拳はベリトに直撃した。 はずだったが、ベリトの体は正拳を受けて簡単に崩れさった。 「なっ…!?」 由真はそのあっけなさに驚いた。詠唱を止めるためだけに繰り出した正拳で、これほどまでに見事に粉々になることはありえなかったからだ。 『油断したな…。』 どこからかベリトの声が聞こえてきた。
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