第十二章 赤銅の騎士

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『何…?』 【―Coliseum of glacier!― (氷刹空間っ!!)】 紗希の詠唱が終わった。 その瞬間、空間が揺らめく。 大きな時空の振動と共に辺りは一瞬にして全てが凍りついた。 古都の建物が全て凍りつき、砕け、あたり一面はなにもない平地へと変化した。 『これはっ…!!空間変異かっ!!』 ベリトはあたりを見て驚いている。 ベリトは自分がミスをおかしたことにようやく気がついた。 由真が突っ込んで来たときに、狙うべきだったのは紗希の方だったからだ。 『くそっ…抜かった…!!』 「よそ見してていいのかしらっ!?」 由真がベリトに渾身の正拳をくらわせる。 由真を縛っていた土の蔓は、既に先程砕けていた。 気が動転していたベリトはその正拳をまともにくらい、大きく吹き飛ぶ。 「由真っ!!大丈夫っ!?」 紗希が由真の元に走ってきた。 「大丈夫よ…。それより、ありがとう、紗希。」 由真は飛んでいったベリトを見つめたままそう答えた。 「でも、氷刹空間なんて…由真にも…!!」 「いいのっ!相手に悟られちゃいけない…。私ならまだ平気だから…。」 由真は自分の周りに炎の膜を一枚張った。 「これで少しはましかしら…。」
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