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『何…?』
【―Coliseum of glacier!―
(氷刹空間っ!!)】
紗希の詠唱が終わった。
その瞬間、空間が揺らめく。
大きな時空の振動と共に辺りは一瞬にして全てが凍りついた。
古都の建物が全て凍りつき、砕け、あたり一面はなにもない平地へと変化した。
『これはっ…!!空間変異かっ!!』
ベリトはあたりを見て驚いている。
ベリトは自分がミスをおかしたことにようやく気がついた。
由真が突っ込んで来たときに、狙うべきだったのは紗希の方だったからだ。
『くそっ…抜かった…!!』
「よそ見してていいのかしらっ!?」
由真がベリトに渾身の正拳をくらわせる。
由真を縛っていた土の蔓は、既に先程砕けていた。
気が動転していたベリトはその正拳をまともにくらい、大きく吹き飛ぶ。
「由真っ!!大丈夫っ!?」
紗希が由真の元に走ってきた。
「大丈夫よ…。それより、ありがとう、紗希。」
由真は飛んでいったベリトを見つめたままそう答えた。
「でも、氷刹空間なんて…由真にも…!!」
「いいのっ!相手に悟られちゃいけない…。私ならまだ平気だから…。」
由真は自分の周りに炎の膜を一枚張った。
「これで少しはましかしら…。」
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