第十二章 赤銅の騎士

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氷刹空間はマイナス108℃の超極寒の世界。 当然、生身の人間が長時間耐えられるわけがない。 発動した本人である紗希以外の人間にはマイナス108℃を体感させてしまうことになる、いわば両刃の剣の技だった。 由真は、少しでも長くこの空間で動けるように炎の膜を自身の周りに張り、自分の周りの温度を一時的に上昇させた。 「でも、やっぱり長時間は保たない…。紗希っ!!すぐ終わらせるわよっ!?」 「うんっ!!」 紗希はチャクラムの武器化を解き、手をかざす。 『クソがっ…!いい気になるなぁっ!!』 ベリトは地面に槍を突き刺した。 槍の先端が地面の中を通って由真たちに向かってくる。 「まかせてっ!!」 紗希はかざした手を横に振り抜いた。 すると、横一線数十メートルに氷の壁が現れた。 「砕けろ~っ!!」 紗希がそう言った瞬間に氷の壁は砕け散り、その破片が全てベリトに向かって飛んでいった。 『ぐっ…!!』 その破片のほとんどがベリトに直撃し、ベリトは地面に膝をついてしまう。 すると、先ほどベリトが放った槍の先端が地面から勢いよく出てきて紗希の心臓めがけて飛んでくる。 「紗希っ!!」 由真は叫んだ。 しかし、紗希は微動だにせず槍を目で追っている。
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