第十二章 赤銅の騎士

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「さっ…紗希っ!!」 由真はゆっくりと倒れていく紗希を見た。 紗希は音を立てて地面に崩れ落ちた。 『まさか…この姿にならなければならないとはな…。』 紗希に刺さった黒い槍が、形を失い黒い煙へと姿を変えた。 そして、その煙は向こうで動かなくなっていたベリトの方へ向かいベリトの体を覆い込んだ。 「どういうことっ!?確かに紗希の攻撃は当たったはずなのにっ!!」 由真は大声で言った。 『私の発源の力を解放しただけさ…。』 黒い煙は人の形をかたどっていき、黒い鎧を身に纏った騎士に姿を変えた。 「かはっ…!!」 「紗希っ!!」 由真は倒れた紗希の元に駆けつける。 「ご…めん…由真…私…この空間…維持…できない…。」 あたり一面の氷が全て一瞬にして砕け、氷刹空間は消え去った。 『形勢逆転だな…ノアよ…。』 黒い鎧を纏ったベリトはゆっくりと二人に近づいてくる。 「由真…逃げて……」 紗希は気を失った。紗希のわき腹からは大量の血が流れ出ている。 「紗希っ!?紗希っ!!」 由真は紗希を必死に起こそうとするが、紗希は一向に目が覚める気配がない。 「今っ…傷をふさぐからっ!!」 由真は紗希のわき腹に治癒光を浴びせようとした。
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