意気地なし

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そして気が付けば放課後 昇降口に向かう 靴を履き、校門に向かう 校門に近付くにつれて、見慣れた姿がはっきりしてくる 音楽聴いてるっぽい あと5mと言うところで雅が気付いた イヤホンを直し、こっちをみる 「あ、井本・・・」 絞り出すような声で俺を呼ぶ 井「帰ろか」 「うん」 二人で歩き出す 久しぶりやなぁ、こうやって帰んの なんか、喋ろか 井「・・なに聴いてたん?」 「阿部真央の、貴方の恋人になりたいのですってやつ」 井「ふぅーん、雅、さ」 「うん、?」 井「すきな奴、居るん?」 「・・・うん、井本は?」 井「・・・、居るよ」 「そっか…」 そういやさぁ、いつから苗字で呼ぶようになったん? もっかい、貴史って呼んでや・・ 「あ、教科書!」 雅は立ち止まり、鞄から教科書を出して差し出す 「ありがとなぁ」 井「おん」 「井本、さ」 井「ん?」 「やっぱいいや、帰ろ?(笑)」 井「なんやねん!(笑)」 また、歩き出す 好き、好き、好きや 何回君に言おうと思ったか でも、言うてこの関係を壊すのは、勿体無いから そう言い訳して言わへん俺は、だいぶ意気地なし END
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