他人

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昨日は晴れだった。 一週間ぶりの雨が降らない日で、 太陽が真上にあって、ぽかぽか気持ちよくて、 心地のよいそよ風をうけながら、弟が元気よくはしゃいでいる のをベンチに座って眺めてた。 弟は無我夢中で公園を走り回ってた。 一週間も雨続きでまともに外で遊ぶ事ができなかったので、 その溜め込んだエネルギーを一気に放出しているように見えた 。 京一はゆっくりと横になった。 段々とまぶたが重くなっていくのを感じながら、 首筋を軽くくすぐる意地悪なそよ風の誘惑にそそられ、静かに 目をつむり、 暗闇が広がっていくのを感じながら軽い眠りについた。 心地のよいぽかぽかした暖かい空間に包まれて、 そっと静かに昼寝をしていた昨日という時間。 それがとてつもなく昔のように感じる。 昨日から今に移り変わる数時間の時間の中に、 何十年という時間が濃縮されているようにも感じる。 人間は年をとれば取るほど、時間の経過を感じる体感スピード を早く感じるようになると聞いたことがある。 それはなぜか。 例として1歳と80歳の老人を比べるとする。 1歳の子供は普段の生活が未知なことばかりで、ほとんどの出 来事が初体験な事ばかりで、 毎日がまったく違う日々に感じ、時間が経過するのが遅く感じ られる。 逆に、80歳の老人は80年生きた経験から、毎日の日々は体 験した事ばかりで、 初体験がほとんどない。 だから毎日同じ繰り返しのように感じて、時間の経過するスピ ードが速く感じるのだという。 1歳と80歳の人間が感じる時間の経過を感じる体感スピード はおよそ80倍といわれている。 今の自分はどうだろうか。 昨日ベンチで横になって、昼寝をしていた出来事が、 何十年も昔のように感じるのはどういう事だろう。 今年で18歳になる。消して1歳の赤ん坊とはいえない年だ。 なのになんでこんなに時間がたつのが遅く感じるのだろう。 昨日から今の時間の空間で、いったいなにがあったんだ。 落ち着いて整理してみようか。
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