6・かまれた腕の傷

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ヒ、ヒィィィッ!!! 私は、慌てて立ち上がった!! こ、声が出ない! い、いや!出せない!! ピアノの横の床の上に血マミレの女の人が倒れていたのだ!! そ、そうだった! 私…こ、この人を見て 気絶を!! その横にピアノの椅子がひっくり返っている…。 こ、この人が…ピアノを? 長い髪… ヒラヒラの服…… ああっ! っていうか、この人! 青衣じゃないの!! 「う、うう…」 その時、青衣の口からかすかなうめき声が聞こえた!! 「あ、青衣さん!生きているんですか?!」 私は、思わず倒れている彼女に駆け寄り抱き起こした!! 青衣の顔は真っ青で息も絶え絶えだ。 いつもの勝ち気でツンとした表情は、見るかげも無い…。 「だ、誰?ツケマツゲが目に入って…痛くて痛くて…ぼんやりとしか見えない…」 「わ、私です!雪美です!!何が有ったんですか?!一体、誰が、こんな事を?!」 「ハアハア…ピアノを弾いてたら…いきなり、後ろから…さ、刺された。 ツケマツゲが目に入って…痛くて顔は見れなかったけど…腕に、かみついてやったわ…。 う、腕に…傷の有るヤツが…ハ…ン…ニ…ン……ゴボッ!!」 いきなり、青衣の口から血があふれ出た!! 「あ、青衣さん!しっかり!!」 「ハアハア…ノックの音が…。誰か倒れて……出てった…」 青衣は、そこまで言うとガクリと首を垂れてしまった!! 「青衣さん!!」 私は、青衣を力いっぱい揺さぶった。 しかし、彼女の目は虚ろで反応が無い…。 「………」image=129036961.jpg
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