6・かまれた腕の傷

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私は静かに青衣を床に寝かせた…。 青衣… どうして 夜の音楽室でピアノなんか… あ!! もしかして…私を驚かすために、ここでピアノを? 彼女ならそれぐらいの事、平気でやりかねない…。 でも、だとしたら…青衣を殺したのは一体、誰? 『ノックの音が…誰か倒れて…出てった…』 私の頭の中で青衣の最後の言葉がコダマした。 私… 『ノック』をして… 気絶して『倒れた』けど『出てって』はいない…。 いつもは、ピカピカに光っている音楽室の床の上を青衣の真っ赤な血が今もゆっくりと広がり続けている…。 まるで意志を持った別の生き物の様に…。 その先の床の上に… 青衣がいつも大切にしているブランド品の茶色いバッグが転がっていた…。 ………。 実は前から私が欲しがっていたバッグである。 …そう言えば… 桜は… どこ? まさか… 桜… この青衣のバッグが欲しくて… 彼女を刺した…とか? そ!そんなバカな!! そ、そんな、バカげた理由…有る訳無いじゃないの!!! 現にバッグ、ここに転がってるし!! …って、そういう問題じゃなくって!!
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