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「ヘックション!何となく肌寒いな…」
桜は、家路を急いでいた。
ここは、夜の住宅街。
「『嫌な胸騒ぎ』…
まだ、おさまらないよぉ。どうか通り魔に会いませんように…だ、誰?!」
不意に気配を感じ彼女は、驚いて振り返った。
そこには…青いTシャツにジーパン姿の男が立っていた。
かなりの長身である。
「黄久郎さん!」
桜たちのサークルの先輩で雪美のカレシ、
宮嶋黄久郎である。
青いTシャツは、彼のお気に入りだ。
「どうしたんですか?!こんな遅くに…。
それにこんな場所で…」
「チッ!それがさぁ…。
いつもの刃物屋のバイト、終わるの長引いちゃって…。
それにしても、夜になって少し寒くなってきたね。まあ、これくらい半ソデでも平気だけど…」
彼は頭をかきながら笑った。
「そうですか?
私もさっきまでジャージだけだったんですけど、外に出たら何となく肌寒いんで上にジャンパーを着て……
って、どうしたんですか?!その怪我!!」
黄久郎の左腕の関節の辺りに、何か丸い形の傷が付いている…。
よく見ると、それは動物か何かにかまれた時にできる歯形の様にも見える…。
「あ、コレ?
さっき、道ばたで野良犬をなでようとしたら、いきなりガブリとね…チッ!!なあに、たいした事ないよ。アハハ!!!
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