1・謎残る一件落着

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ところで… 警察は、雪美にも青衣と金淵両方の殺害の疑いをかけた。 音楽室には彼女の指紋がベタベタと付いていたし 彼女の服には青衣と金淵、両方の血液が…。 それに、彼女のポケットからは青衣と金淵、両方の血液が付いたハンカチが見つかった。 そして… なにより雪美には、二人を殺す動機が有る。 彼女は犯行後、大学から逃げる途中で通り魔の黒木に出くわし、刺されたのかも…。 しかし… その後の警察の調べで、 事件の夜に音楽室の隣の調理実習室から大振りの果物ナイフが一本無くなっているのが分かったのだか… 雪美はナイフどころか凶器になるような刃物の類いを一切持っていなかった。 逃げる途中、どこかに捨てた? しかし… 大学の中やその周辺がくまなく捜索されたのだが 凶器になるような刃物の類いは結局、見つからなかった。 (もちろん、事件の夜に通り魔の黒木が凶器として所持していたナイフは、別にして。 ちなみに、調理実習室に残された他の刃物類からも殺人の痕跡は見つからなかった) 金淵と青衣の『心中説』も『相討ち説』も 凶器が無ければ無理…。 凶器の刃物は…どこに? やはり…黒木が全員を刺したのか? 雪美は 犯人ではなく単に事件の目撃者なのかも……。 でも、だとすると… 彼女が持っていたあの血の付いたハンカチは… 一体、何なのだろう…。 結局…全てが手遅れであった。 青衣も金淵も… そして雪美も…… みんな助からなかった……。 黄久郎は、 その悲しみを紛らわせようとしているのか、今でも趣味の『ナイフ集め』を続けている。 そして… 先日… 漫画同好会は この殺人事件をきっかけに解散してしまった。
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