プロローグ

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*********** 『人魚』―――『胴から上は若い女で、魚の尾を持つという想像上の動物』か。『想像上の動物』だなんて、誰が決めたんだよ。いないって決まった訳じゃねぇのに。そんなの、それこそ人間の勝手な想像じゃねぇか。 蓮は、辞書を読みながらそんな事を考えていました。 「蓮。ほら、次の授業移動だろ。急がないと遅れるぞ??」 俺の名前は「日月蓮(ひづきれん)」。此処、月白海浜高校に通う普通の高校2年生だ。 今俺に話しかけてきたのは、俺の小学校からの親友の「葉月隆(はづきりゅう)」。同い年の同じクラス。中学ん時からずっと同じクラスなんだよな。何か『変な力』でも俺達にかかってんじゃねぇかと、最近思う。 でも俺が今言った『変な力』とかさっき調べてた『人魚』とか、『そういうの』は今の世界で認められていない。 時が流れて、『そういう』科学で証明されないモノは、全て『想像上のモノ』にされた。世界がそういう風になっちまった。本当がどうかわからなくても真実(ほんとう)なんてどうでも良くて、科学が全ての世界になっちまった。
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