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天使は嘘を吐いた。
何故か?
それは世界を救うためだ。
天使が岳に自分の役目と世界について説明するシーンがある。
《「現実世界で居場所を見失った人物に、この世界の居場所を提供する。それが私の役目だ。選抜者はこの戦時下の世界で生きる実感を手に入れ、この世界は選抜者がいる限り、絶滅をまぬがれる。こうして、全ての存在が、幸福になる。」》
この台詞をよく読むと、天使が幾つか重要な事項を喋っていることがわかる。
第一に、この世界が現実世界ではないことを明言している。
単に並列世界であれば元々いた世界、例えば元世界などと言えば良いところを現実世界と表現していることから、今いる世界は非現実な空間である、と示唆しているのだ。
また、“現実世界に肉体が残る”と何度も話していることからも、今いる世界は精神のみの実体がない世界である可能性が高い。
岳が仮想世界から“意識の狭間”を通り抜けて現実世界にリンクした時、意識の狭間にいた眼鏡ウサギが集めていたのはアストラルキャロット…アストラル(幽体や星を意味する)ということからして眼鏡ウサギは何らかの目的で精神エネルギー、もしくは魂のようなものを選り分けていたのだろうと思われる。
つまりこの仮想世界は、幽体や霊体といった精神世界の上に構築された虚構世界なのだ。
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