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天使は自らの持つ魔法の万能アイテム“天使のケータイ”で現実世界に現れ、選抜者を募集する。
選抜者を運び込むには至極簡単、承諾した相手のケータイにメールを送るだけだ。
メールを見た相手の精神は即座に仮想世界へ転送される。
相手が不要になれば送りつけたメールを削除すればよい。転送された精神は仮想世界から瞬時に削除され、現実世界の肉体に送り返される。
仮想世界において“天使のケータイ”は絶対権力なのだ。
事実、絶対天使を倒しケータイを手に入れた鈴は《新たな天使となった。》
いや…正確に言うならば、天使のケータイは仮想世界とイコールの存在なのである。
ケータイの中のメールこそが仮想世界に生きる選抜者のアイデンティティ。
メールを削除するだけで消滅する選抜者の存在。
つまり、【仮想世界とは、天使のケータイの中の世界】なのだ。
全ては、このケータイの中で起きた出来事なのである。
…思い出してほしい。
―物体への意識の転送と実体化
―人類を絶滅から救う
―意識の狭間とその風景
―抜け出られなくなる世界
―世界の管理人
これらキーワードにどこか見覚えがないだろうか?
メヰルをクリアしたプレイヤーであれば、必ずどこかで体験したことがあるはずだ。
そう、仮想世界の正体とは、天使のケータイとは、
エルアークなのだ。
仮想世界は“書物の世界”であり、メールは“挿入栞”、そうすると天使は“ツヴァイ”の役目であろうか。
現代日本という背景設定、幾つかの不具合(対象の精神体のみしか取り込めない、仮想世界が一つしかない)があることから、むしろエルアークの原型、プロトタイプと言ったほうが正しいのかもしれない。
仮想世界=天使のケータイ=エルアークシステムという図式で見ると仮想世界が作られた理由、天使の使命にも合点がいく。
方舟エルアークが作り出された理由は唯一つ。
それは現実世界に来るべき“大崩壊”から、人類を守る為のスペースを確保すること。
岳や鈴、仙人はその仮想世界の被験者、テストケースなのだ。
メヰルは単なる空想のおとぎ話ではなく、過去にあった事象…エルアークの原風景を語っているのではなかろうか。
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