店の名前

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   黒髪が綺麗にウルフカットされている、青少年を緩くした感じの少年──文人(フミト)と、背が小さくて瞳が大きな少女──麻衣子は、ある店に向かっていた。  文人の右手には、大まかに手書かれている地図が握られており、それを頼りに歩みを進めているところだった。  麻衣子の瞳は子供のように輝き、後ろ姿からもわかるくらいに体をうきうきさせていて、文人はそれを眺めながら、少し呆れて麻衣子のあとをついていく。  魔物がいるなんていう今どき小学生でも信じないような話しを聞いたときは、正直驚いた。そしてそれに興味を示した彼女にもこれまた驚いた。その話しにはオマケがあって、魔物から逃げのびると願いが叶うだとか、店の店長と仲良くなると願いが叶うとだとか、人間がとってつけたような美味しいネタまで加わっている。 この地図によれば、そんなうさん臭い夢の世界はもうすぐだ。  
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