新しい恋…

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 春。  新たな期待を胸に抱き、この始まりの季節を今か今かと待ち遠しくしていた人達にとってはとてもいいとも言える。  まだまだ冬の名残か、風が吹けば身を縮めて寒さを堪えてしまう。  新学期、学校へと向かっていく間にも春というものが実感出来る。  鳥の囀りや暖かく照らしてくれる太陽。 「……ふぁ……」  大きな欠伸をし、歩いている青年がいた。  青年は学校の制服だろう、優しいクリーム色で統一された上下の服、下はスラックスで上はブレザー、中には黒地のセーターを着ていた。  適度に着崩された感じで以下にも眠いと言ったようにまた欠伸をする。  全体的に長いミディアムレイアーだが襟足や揉み上げが特に長く、地毛だろうか仄かに茶色い。  背は高く、百八十センチはあるだろう。手や足が長く細身でガラスのように脆そうな印象を受ける。  青年は風が吹く度に無造作に流れる髪を手で直しながら、ゆっくりと学校への道を歩いていった。  校門には、新入生歓迎。などというような看板があったり、チラシを大量に持っている生徒がいっぱい並んでいた。  青年は堂々と門を通り、校舎に入っていく。  もちろん、数々の勧誘やら何やらが沢山あると思いきや、全くなかった。
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