数学の天才

2/6
前へ
/48ページ
次へ
小磯健二。高校2年生。 この前に、数学オリンピックがあった。 とても自信があり、日本代表を夢見るほどでもあった。 「ハァ…」 僕はただ学校の机に体を預けていた。何をするにも皆よりワンテンポ遅れるほど、頭な中に何があるか、整理しきれていない。かなり暑いが、ウチワや下敷きでパタパタする動作さえ見付けられなかった。 周りみたいにワーワー叫び会う人もいなければ、相談を持ち掛けるほど仲の良い人もいない。言わば孤独だ。 皆に囲まれるのも苦手だし、話を盛り上げられるほど話術は持ってない。 こんな自分は見捨てられて当然か… もう完全なる孤独だ。 自分を唯一見てくれていたと思っていた存在 ―数学― にも見捨てられるのだから。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加