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授業中はとても退屈だ。
何に使うか全く理解できないものを学び、それをノートに書き写す。それだけ。
授業が嫌いな俺にとって拷問に等しいそれは適当にぼーっとして回避するしかない。
そうしていればあっという間に昼休み、ああ、ノートはちゃんと取ってる。
荒川や他の友達―――名前を挙げるなら田代、坂上、山城―――と昼食を採る。
この三人も、けっして格好いいとは言えない。
というより格好いいの概念が、俺にはわからない。
イケメンにでも生まれてくれば、わかったかもな。
「田代!英語やった?」
「ん、まぁ一応」
「みしてくれ!!」
「一ノ瀬は?やった?」
「今やろうと思ったけど多分今日は当てられないし、いいわ」
田代と荒川のやり取りを見ながら、山城に適当な相槌をうつ。
山城も予想通りの答えだったのだろう、苦笑しながら再び昼食を取り始めた。
因みに雨の日は女子達が教室にたまり、五月蠅いのだが晴れなので外に出ているようだ。
「お、一ノ瀬、ゲームやってんじゃん」
一足先に食い終わった俺が某黄色い電気鼠が登場する有名ゲームをやっていると、不意に声をかけられた。
振り向くと、最近仲良くなった高島が画面を覗きこんでいた。
「来るべき高島との戦いに勝つ為育ててるのさ」
「お、言ったな。俺だって負けねぇぞ」
高島は俺とは違う男子グループの奴で、このゲームを通して仲良くなった。
俺がいつも連むのは大人しいグループで、言ってしまえば地味な奴等が集まっている。
対象的に高島のグループは今時と言うか正に高校生と言うべきグループである。
まぁ最近は高島のお陰で俺は初めてどちらとも話せる、わかりやすく言えば無所属の人間になった。
クラスに『普通』一人はいる役所である。
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