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夢の中でいなくなったはずのあの人がわたしに語りかけるのです。
しかし、わたしにはその声が聞こえません。
わたしは何度も聞き返します。
「なんと、おっしゃったのですか?なんと、おっしゃったのですか?」
彼の優しい微笑みはだんだん厳しい夜叉のような顔になっていきます。
「……に」
かすかに聞こえました。
「…を……に」
わたしは夢の中なのに酷く冷たい汗をびっしりかきました。
わたしは思わず一歩後ずさりをしてしまいました。
その瞬間彼の顔は夜叉とも般若ともとれぬ恐ろしい表情で私に怒鳴りつけたのです。
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