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冷え切った体の明日香を抱きかかえるように部屋に連れ帰り、ソファーに座らせた。
涙は止まったらしいが、未だ何かを言える状況じゃない様子。
とりあえず体を温めようと、私は明日香が好きなアップルティーを煎れた。
《………いい、匂い》
【うん。好きでしょ、アップルティー】
《…ん。》
少し落ち着いたのか、微かに笑みがこぼれた。
【ほら、足あげて。拭いたげる。】
どこをどう来たのか分からないが、明日香の足は少し切れて、血が滲んでいた。
《ごめん…》
【謝んなくていい。
何でこんな状況になってるのかも、何となく分かる。
…話したくなければ無理には聞かない。でも…】
《で…も…?》
【とりあえず風呂に入る!んで今日はウチに泊まる!分かった?】
明日香は別の言葉を予期していたのか、見当外れの言葉にポカンとした。
《……うん、ありがと》
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