優しさの影に…

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『何で分かんの!?』 『あんた、顔に書いてるわよ。振られましたって。』 『えっ!?』 わかりやすいのは元からって自覚はあるけど、そんなにかなぁ? 『いつもみたいに気持ち、吐き出して良いわよ?』 トンちゃんが優しく言ってくれた。 私は、終わったばかりの恋を話そうとした時、瑞希が席を立った。 『あ~…私、あっちでダーツやって来るわ』 そう言って、私の頭をぽんぽんとした後、常連さん達がたむろってるダーツに行っちゃった。 『…………。』 『瑞希も、あの子なりに気を使ってんのよ。気にしないの。』 『うん、分かってるよ。あれは、瑞希なりの優しさだから。』 私は瑞希が居ても居なくても、全然構わず話せるだけどね。 『瑞希って、何であんなに優しく出来るんだろ?』 『…………それは…瑞希がツラい事、乗り越えたからよ、きっと。』 『ツラい事?』 『昔の話よ。ま、詳しくは知らないけどさ、瑞希の個人的な事だから、私は話せない。』 『そう…なんだ。』 『明日香にも話してないなら、あの子は未だに…過去と闘ってるのかもね…』 瑞希の心の中の影、かぁ… ダーツの前で常連さん達と笑顔ではしゃぐ瑞希に、ソレは微塵も感じられない。 『ま、瑞希が明日香の恋バナ聞きたくないのは…多分別の理由だろうけど。』 2人で瑞希を見てた時、トンちゃんが、ニヤって笑って呟いた言葉の意味を、その時まだ、私は分からなかった。
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