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「おまえ、あの場から逃げちまってよかったのか?あの子、きっと傷ついてるぞ。あの時のおまえは……オレでもなんか怖かった。」
「………司。」
「蒼空、おまえはこのままでいいのか?ずっとあの子に……"いつもの"調子でい続けるのか?」
そんなこと、言われなくてもわかっていた。自分がどうするべきなのか、なんて。でも――。
「わかってるよ、そんなコト。でも僕……怖いんだ。司や藤岡先生以外に、心を開くのが。」
司が優しく、蒼空の肩を叩いた。
「怖がるな、蒼空。おまえが一歩をふみ出さなきゃ、何もかわらないぜ?大丈夫、オレがついてるんだから。」
司の優しさが、蒼空にはとても嬉しかった。いつもの彼もそうではあるけれど、今の蒼空にとっては、いつも以上に強くそう感じたのだった。
この親友の存在がなければ、きっと今のように学校に元気な姿でいるなんてなかっただろう。ずっと病院や家の中でひきこもっていたかもしれない。
蒼空にとって司の存在は………とても大きなものだった。
次の日、彩華はいつものように声をかけてこなかった。昨日あんなに冷たい態度を取られたのだから、きっとショックを受けたに違いない。
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