3話 変わる二人、隠し事

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 蒼空は何か隠してる。 彩華は最近、そう思うことがよくある。以前よりも彼との距離が近くなった気はするが、まだ何かを自分に隠している気がして仕方なかった。かといっていきなり「何か隠してるでしょ?」なんて言える勇気もなく、いつも聞けずにいた。 「なぁアヤちゃん、昨日のアレ・・・見たかぁ?」 「え・・・・?アレ?えっと・・・何?」  急に話しかけられて、彩華はあわてて話にくわわる。 「おまえ、またあの再放送の映画見てたのか?好きだねぇ・・・・司は。」  蒼空は机の上で頬杖をつき、呆れ顔で言った。  司が何度も見ている映画は、某有名人が主役を演じる刑事ドラマだ。中学校の頃に初めて公開されて、蒼空は一度映画館に二人で見に行った。その後日に司は一人で、三回は見に行ったとか。発売されたDVDも買っているのに、テレビの再放送まで見るなんてどんだけ好きなんだ!と言いたくなってしまう。 「えっ・・・あ、ごめんなさい。私その時間、連ドラマ見てたから。」 「もったいねぇ!今度DVD貸してやるから見なよ、アヤちゃん。」  目をキラキラと輝かせて力説してくる司に、彩華はたじろいだ。 「おいおい・・・・散々僕に力説してたのに、今度は彩華にすすめるのかよっ。」  そんないつもと変わらない他愛のない会話をしていると、クラスの担任の先生が蒼空を手招きした。 「お?またいつもの呼び出しか、蒼空?」 「まあこればっかりは仕方ないね。・・・・ちょっと行ってくる。」  先生と二人教室を出ていく蒼空を見送り、彩華はふと司にあの事を聞いてみることにした。 「ねぇ、司。」 「ん?何だ、アヤちゃん?」 「・・・・蒼空はなんで時々、学校サボってるの?頭もいいのに先生に呼び出されてるし。」 沈黙―――――。  司は俯き、言葉に迷っていた。こればかりは司の口から言うべき事ではない。蒼空が自分から言わなければダメだ。 「ねぇ、司ってばっ!聞いてる?」 「ええっと・・・・それは。オレも知らないんだよなぁ、アハハ・・。」  司は何とかごまかそうとして、シラをきる。 「ウソっ!司何か知ってるでしょ?」  彩華は見逃さなかった。司がウソをつく時、何かと鼻の頭をかくクセがあるのだ。  司はため息をついて、ポツリと言ってきた。 「・・・知ってるよ。小さい頃からずっと一緒だったから、知らない訳はない。けど――――。」 「けど・・・?」
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