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学校中の生徒がみんな見ているせいで、蒼空はちっとも自分のクラスがどこなのか確認する事ができない。
思い切って人ごみをかきわけて行こうとしたら、司が肩を掴んできて、ニコリと笑う。
「オマエはいいよ。オレが見てきてやるっ。……隊長はそこでまっとけっ!!」
「なんだそれっ。」
人ごみをかきわけて行く司を見つめながら、蒼空は小さく「――ありがと、司。」と呟いた。
なんだかふざけた言い方をしていった司だが、蒼空はちゃんとわかっていた。彼の小さな優しさに。
学校に通えるくらいの身体になったのは中学2年くらいの頃で、その時から司は色々と気を使ってくれている。
初めの頃は蒼空の具合が悪くなり早退したとかがありすぎだったが、慣れてしまうと司の対応は早くなっていた。いまはそんなこともほとんどないが、蒼空にとって司は親友で、信頼できる存在なのだ。
しばらくして司が戻ってきて、ブイサインを出してニコリと笑う。
「やっぱりその通りだったぜっ!オレの予言当たっただろっ?」
「予言かよっ!!最初は『また一緒になれっかな?』って僕に聞いてたクセに。」
「ん?そうだったっけか?」
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