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女の子なんてどう接したらいいかわからないし、同情されて優しくされるのも嫌だったから、ずっと冷たい態度をとってきたのに……。
あの子はそんな冷たい僕に、いつもわらって話かけてくる。
何度も。
いつも。
そんなあの子に僕は……気を許してしまいそうだった――。
「やっほー、大河君。……あ、なんか眠そうだね?夜更かし?」
最近当たり前になってしまった事が、今日も繰り返されている。彩華は今日も蒼空に話しかけるのを忘れない。
「……別に。ちゃんと寝たけど。」
いつもの調子で言葉を返しても、やはり彩華は変わらない。優しい笑顔を蒼空にむける。
それになんだか今日は、いつも以上にニコニコしているような気がした。
「春野はなんか、いつもよりニコニコしてるけど……どうかしたわけ?」
「だって、嬉しいんだもの。大河君さ……出会った頃よりもお話してくれるから。」
蒼空は驚きを隠せなかった。それは自分でも薄々感じていた事だった。彩華と話していると、冷たい態度な"いつもの"自分が、何だかバカらしく思えた。
彼女になら、本当の自分を受け入れてくれるのではないかと思ってしまう。
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