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きっと大丈夫と自分に勇気の魔法(?)をかけて、彩華は思い切って言ってみることにした。
「私とペアなんて……どうかなって思って。」
―――沈黙。
蒼空の表情が曇った。
彩華から目をそらし、何も答えてくれない。
「…………。」
「大河君……どうかしたの?」
彩華は、やっぱり言わなければよかったのかという考えが頭をよぎる。
蒼空は何も言わないまま背をむけてしまう。
「…………。」
――何も僕のコト知らないから、そんな事が言えてしまうんだ。
でも知っていたら……彩華はどうするのだろう?
司だったならば、彼にそんな事は言わないだろう。"もし"という意味を含めた言葉を司なら言うだろう。
「―――僕は、やらない。授業も出る気ないから、他を当たれよ。」
いつもよりもずっと冷たい言葉が、彩華の心に突き刺さる。
蒼空はそのまま、教室から出ていってしまった。
「おいっ……蒼空、待てよっ。」
それを近くにいた司が追いかけていった。
「何よ……それ。」
一人残された彩華がポツリと呟いた。
態度はあまり変わらなくても、少しだけ見せてくれた本当の姿…。
「授業に出る気がないって……何でよ?」
でも本当の本当の彼は……近寄れば噛みつく、狼なのかもしれない。
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