Start or End?

2/9
前へ
/107ページ
次へ
〈5月7日 PM11:51 徳島市内裏通り〉 恐らく公園に住む人の一人だろう。 その中年男性は封を切ってない新品の煙草を手に握っていた。 「オッサン。いるかってのはその煙草の事か?」 俺が目を細めて尋ねる。 するとオッサンはニカッと笑って、 「勿論金は取らねぇぜ? 一箱余ったから分けてやるだけだよ。 どうだ?ん?」 「いらな「いるっ!!」 俺が断ろうとしたら総司が勝手にもらいやがった。 「あっ、バカ! オッサン、いらねぇから返…す…って、いない?」 俺が向き直った瞬間にオッサンは消えていた。 総司はと言えば、貰った煙草を目を輝かせながら眺めている。 ご丁寧に、ライターまで貰ってやがる。 「おい大我見ろよ。本物の煙草だぜ?」 「それくらい分かってる。 で、どうするんだ?吸うのか?」 すると総司は妙な声で笑いながら言った。 「ふはははは…。愚問だな。」 俺はため息を吐く。 何故なら今の日本ではどんな小さな罪でも犯した時点で極刑…つまりは処刑になる。 だから未成年が煙草を吸うのは勿論、持ってるのも犯罪だ。 つまり、総司は今この瞬間に、処刑確定の犯罪者になった訳だ。 だが今ならまだ引き返せる。 幸い総司はまだ吸っていないから証拠隠滅は可能だ。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加