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〈5月8日 AM00:40 徳島市 場所の詳細不明〉
どのくらい走ったんだろうか。
俺達は今、灯りは街灯だけのくらい路地にいる。
SJATは、上手く巻いたみたいだ。
「総司、怪我はないか?」
しかし、総司は聞こえていないのか答えない。
「総司!」
「あ、あぁ…。大丈夫だぜ…。」
全然大丈夫じゃねぇだろ。
でも、流石に人を殺して平気いられるはずはねぇよな…。
「総司、人を殺すのに慣れろとは言わない。
でも、それに耐えられる覚悟を持ってほしいんだ。
この国を変える。その覚悟が俺達の支えだ。分かるな?」
「…あぁ、そうだよな。
俺達はでっかいことをやらなきゃなんねぇ。
こんなとこで詰まってる訳にはいかねぇもんな!」
やっぱり、総司は強い。
俺は、総司とならこの国を変えるのが出来る気がしてきていた。
ヴーッ!ヴーッ! ヴーッ!
「大我、携帯鳴ってるぞ?」
「あぁ、誰だろ?」
いや待て、こんな時間に誰が電話なんて掛けてくるんだ?
しかも俺達が既に犯罪者として、県内だけにでも知れ渡っていたら…。
俺は携帯を開き、着信相手を見た。
「[相沢 咲]…。」
「出るのか…?」
「一応な。
もっとも、相手が咲じゃなかった場合、携帯を捨てて移動するぞ。」
俺は恐る恐る電話に出る。
総司は何時でも逃げられるように準備している。
「もしもし…?」
『…もしもし、大我…?』
間違いなく咲の声だ。
俺は少しほっとする。
「どうしたんだ、こんな時間に。
今家なのか?」
『ううん。外…。
二人の…後ろにいるわ…。』
俺達は慌てて後ろを見た。
そこには悲しそうな表情をして携帯を片手に持った、咲が立っていた。
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